先代がまだ元気なうちは、誰もこの問題に気づきません。

会社の沿革を聞かれれば、「祖父が二戸で始めた製材業がルーツで」くらいはすぐに出てきます。パンフレットにも一行書かれています。しかし、実際に何があったのかを詳しく語れる人は、当の先代しかいないというケースがほとんどです。

事業承継が急がれる背景

中小企業庁が公表した2025年版中小企業白書によると、中小企業経営者の平均年齢は2024年時点で60.7歳に達しています。中小企業庁の試算では、2025年までに引退の目安とされる70歳を超える経営者は全国で約245万人にのぼる見込みです。一方で、後継者不在率は2023年時点で54.5%と、依然として半数以上の企業で後継者が決まっていません。

事業承継には大きく3つの形があります。

  • 親族内承継:子や孫など、家族に会社を引き継ぐ最も伝統的な形
  • 親族外承継(従業員承継):役員や従業員など、社内の人材に引き継ぐ形
  • M&A(第三者承継):社外の企業や個人に会社を譲渡する形

どの形であっても、株式の移転や税務対策といった「仕組み」の整備は避けて通れません。しかし、どの形を選んだとしても見落とされがちなのが、これから説明する「なぜこの会社なのか」という部分です。

属人化しているのは業務だけではありません

事業承継の話をすると、たいてい「業務マニュアル化」「取引先の引き継ぎ」「社内システムの整備」といった、目に見える属人化対策が挙がります。もっともな話です。しかし実際に後継者が苦しむのは、もっと掴みどころのない部分だったりします。

  • なぜこの土地で、この事業を始めたのか
  • 一番苦しかった時期に、何を選んで会社が生き残ったのか
  • 今も大事にしている取引先との関係は、そもそもどこから始まったのか

こうした話は、たいてい先代の頭の中にしかありません。文書化されていませんし、そもそも「文書化するようなものだ」と誰も思っていないのです。承継のタイミングでは業務フローだけが引き継がれ、「なぜこの会社がこの会社であるのか」という部分がすっぽり抜け落ちてしまいます。

数字で継いでも、覚悟までは継げません

後継者本人と話していると、よく聞く言葉があります。「継ぐことは決まっているけれど、正直まだ実感がない」というものです。

株式の移転、税務上の対策、組織図の整理——これらはすべて制度として進めることができます。しかし「なぜ自分がこの会社を継ぐのか」という問いへの答えは、制度がいくら整っても出てきません。それは先代の判断の積み重ねの中にしかないからです。創業時の資金繰りで何を諦め、何を諦めなかったか。ある取引先との縁がどうやって続いてきたか。そうした具体的な経緯を知って初めて、後継者は「継ぐ理由」を自分の言葉で持てるようになります。

調査してみると、家族も知らない話が出てくることがあります

TADOROOTSの「ルーツ経営プログラム」では、創業家の戸籍調査と並行して、先代・関係者への聞き取りを行っています。ここで毎回起きるのが、社内の誰も——時には後継者本人の家族すら——知らなかったエピソードが出てくることです。

創業の数年前に一度事業が立ち行かなくなり、親族から資金を借りて再起したという話。土地を選んだ理由が、実は取引先ではなく先代の恩師の紹介だったという話。こうした事実は、聞かなければ永遠に埋もれたまま消えていきます。先代が引退し、あるいは亡くなってしまえば、確認する手段そのものがなくなります。

いつから準備を始めるべきか

事業承継の準備には、一般的に5年から10年ほどの期間が必要だといわれています。後継者の育成、株式の移転計画、税務対策のいずれも一朝一夕には進みません。「自社の歴史」を記録する作業も同様で、先代が元気で記憶がはっきりしているうちに始めるほど、正確で厚みのある記録が残せます。逆に、体調を崩してから慌てて聞き取ろうとしても、既に確認できなくなっている事実が出てくることがあります。

経費として扱えるという実務的な事実

ルーツ経営プログラムは、創業家のルーツ調査・創業ストーリーの記事化・採用ページ制作・Googleマップ露出強化までを一体で提供しています。料金は98,000円で、広告宣伝費・採用費として経費計上も可能です。

事業承継の準備というと、会計士・税理士・弁護士への相談が中心になりがちです。しかし「継ぐ理由」を後継者自身が言葉にできるようにする作業は、実は誰も担当していないことが多いのが実情です。

よくある質問

Q. 事業承継とルーツ経営プログラムは、どちらから先に進めればいいですか。 A. 順番は問いません。税理士・会計士による制度面の準備と並行して進めることができます。むしろ、先代への聞き取りを承継準備の初期段階で行っておくと、その後の対話がスムーズになるという声を多くいただきます。

Q. 創業から何十年も経っていて、資料がほとんど残っていません。それでも調査は可能ですか。 A. 可能です。戸籍調査と関係者への聞き取りを組み合わせることで、文書がほとんど残っていない場合でも、事実関係を掘り起こせることが多くあります。

Q. 対象は個人事業主でも構いませんか。 A. はい。法人・個人事業主を問わず、承継や事業の意味づけを考えている方であればご相談いただけます。

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