相続家族信託を考える前に整理しておきたいこと|家族の関係・本人の希望・相談のための資料
公開:更新:執筆:荻野光希(TADOROOTS 調査担当)
親の財産をこれからどう管理していくか――家族で話し始めると、思いのほか話が広がって、なかなかまとまらないことがあります。
- 「家族信託」という言葉を聞くけれど、うちに合うのか分からない
- 誰に何を頼みたいのか、家族の中で考えがばらばら
- 専門家に相談する前に、何を整理しておけばいいのだろう
こうした話し合いでは、「誰に何を頼みたいか」と「家族がどんな関係か」が混ざりがちです。まず家族の関係と本人の希望を整理し、制度の選び方や契約は専門家と進める。この順番を意識すると、相談で何を聞けばいいかが見えてきます。
この記事では、法律事務所で相続・信託の実務に10年携わり、TADOROOTSで家族の記録づくりを手がけてきた調査担当が、家族信託を考える前に整理しておきたいことをご紹介します。
この記事を読むと分かること
- 家族信託と家系図の役割の違い
- 成年後見を含めた、選択肢の考え方
- 専門家に相談する前に用意したい3つの資料
- 家族の情報を共有するときの注意
家族信託と家系図は、何が違う?
家族信託(民事信託)は、財産を託す人・管理する人・利益を受ける人の関係を、主に契約で決めるしくみです。一方、家系図は、家族の関係を見渡すための記録です。
| 整理するもの |
役割 |
| 家系図 |
家族の関係を見渡す(誰を管理する人にするかまでは決められない) |
| 財産の一覧 |
管理したい財産を確かめる(持ち主や税の扱いは別に確認) |
| 本人の希望のメモ |
望む暮らしや管理のしかたを伝える(法律上の権限は生まれない) |
家族の誰かに管理を頼みたいという希望があっても、信託の契約が成り立つか、どんな形がよいかは、別に検討が必要です。
成年後見も含めて、選択肢を考える
財産の管理には、家族信託のほかに成年後見制度もあります。成年後見には、判断する力が十分でなくなったときに家庭裁判所が後見人などを選ぶ「法定後見」と、元気なうちに、後見人になってもらう人と公正証書で契約しておき、必要になったときに家庭裁判所の手続を経て始まる「任意後見」があります。
どの方法が合うかは、本人の希望や財産、家族の事情によって違います。また、病名だけで「契約できる・できない」が決まるわけではなく、本人が内容を理解して意思を示せるかなど、一人ひとりの事情で判断されます。目的に合う方法を、弁護士・司法書士などの専門家と考えましょう。
専門家に相談する前に用意したい3つの資料
相談の前に、家族の関係のメモ、本人の希望、聞きたいことの一覧の3つを用意しておくと、話がスムーズに進みます。
- 家族の関係のメモ:家系図のように、誰と誰がどんな関係かを書き出します。戸籍で確かめた関係にはそのことを添え、確かめていない関係は「要確認」としておきます。
- 本人の希望:誰のために、どの財産を、どのように管理してほしいかを、本人の言葉で書き留めます。
- 聞きたいことの一覧:管理する人の負担、管理する人が交代するとき、費用、終わるときの扱いなど、気になることをまとめます。
資料がそろっていなくても、分からないことを一覧にすれば、相談は始められます。
家族の情報を共有するときの注意
家族の関係や財産の資料は、本人と話し合って、共有する範囲を決めてから見せるようにしましょう。
- 戸籍や財産の資料を、必要以上に広く配らない
- 本人の希望と、家族それぞれの考えを分けて書き留める
- 話し合った日と、参加した人を記録しておく
まとめ:関係と希望を整えてから、専門家へ
- 家族信託は契約で関係を決めるしくみ、家系図は家族の関係を見渡す記録
- 成年後見(法定後見・任意後見)も含め、目的に合う方法を専門家と考える
- 相談の前に「家族の関係」「本人の希望」「聞きたいこと」を整理しておく
家族の関係が一枚の図で見渡せると、話し合いの土台がそろいます。本人の思いを真ん中に置いて、家族みんなが納得できる形を探していきましょう。
家族の関係を、見渡せる形に
TADOROOTSでは、戸籍をさかのぼって家族の関係を家系図にまとめるお手伝いと、ご本人のお話や希望を記録にまとめるお手伝いをしています。信託の契約や法律の相談は行っていません。くわしくは家系図制作・ルーツ調査、人生の記録サービス、料金はプラン診断・料金一覧でご覧いただけます。
よくある質問
Q. 家系図があれば、信託の契約を作れますか。
作れません。家系図は家族の関係を見渡すための記録で、契約書の代わりにはなりません。信託の設計や法律の判断は、弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。
Q. 家族信託と成年後見は、どちらがいいですか。
本人の希望や財産、家族の事情によって違います。それぞれの特徴を専門家から聞き、目的に合う方法を選びましょう。
Q. 認知症と診断されたら、もう信託の契約はできませんか。
診断名だけでは決まりません。本人が内容を理解して意思を示せるかなど、一人ひとりの事情で判断されます。早めに専門家に相談しましょう。
Q. 専門家への相談が先でもいいですか。
はい。先に相談して必要な書類を確かめれば、目的に合った範囲で家族の関係を整理できます。
Q. 家族の関係のメモは、どこまで書けばいいですか。
本人と配偶者、子、孫、本人の兄弟姉妹など、財産の管理や相続にかかわりそうな人を中心に書き出しましょう。確かめていない関係は「要確認」としておけば大丈夫です。
Q. 家族全員に話し合いの内容を伝える必要はありますか。
本人の希望を大切に、共有する範囲を決めましょう。誰にどこまで伝えるかも、専門家に相談できます。
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参照資料(2026-10-16確認)
家系図の制作は、信託の契約や法律の相談を行うものではありません。