事業承継採用ページに創業の物語を載せる方法|会社らしさが伝わる構成と公開前チェック
公開:更新:執筆:荻野光希(TADOROOTS 調査担当)
求人票には、仕事内容や給与、勤務地を書きます。けれど、それだけでは「どんな会社で、どんな人たちが、何を大切に働いているのか」までは伝わりにくいものです。
採用ページを見直そうとすると、こんなことで手が止まりがちではないでしょうか。
- 自社の良さを、条件以外の言葉でどう伝えればよいか分からない
- 創業の話を載せたいけれど、長い沿革の羅列になってしまう
- 載せたとして、本当に応募につながるのか確かめようがない
創業の物語は、条件の代わりにはなりません。けれど、条件を読んだ人に「この会社は、なぜこの仕事を続けているのか」を伝える、大切な補足になります。順番と確かめ方さえ押さえれば、会社らしさは誠実に伝えられます。
この記事では、TADOROOTSで家系や会社の歩みを資料と聞き取りから記録にまとめてきた調査担当が、採用ページに創業の物語を載せる方法を、構成・まとめ方・公開前の確認・効果の確かめ方の順にご紹介します。
この記事を読むと分かること
- 採用ページで、創業の物語が果たす役割
- 応募者が読みやすいページの順番
- 「理念」を具体的な出来事で伝えるまとめ方
- 公開前のチェックリストと、効果の確かめ方
創業の物語は、採用ページで何の役に立つの?
創業の物語は、仕事内容や条件を読んだ応募者に、会社がこの仕事を続けてきた理由と、いまも大切にしていることを伝える補足情報です。仕事の意味が具体的に見えると、応募する前に「自分に合う会社かどうか」を考えやすくなります。
一方で、物語を載せたからといって、応募や定着が必ず増えるわけではありません。採用には、労働条件、地域、求人媒体、選考の進め方など、多くの要因が関わります。物語は「条件を補う情報」と位置づけ、条件をきちんと伝えることを先にしましょう。
まず整えたいのは、求人の基本情報
求人の情報は、うその表示や誤解を招く表示をせず、正確で最新の内容に保つことが、職業安定法で求められています(令和4年10月施行の改正)。また、令和6年4月からは、職業安定法施行規則の改正により、求人の段階で、就業場所と仕事内容の「変更の範囲」なども示すことになりました。
創業の物語を書き足す前に、募集職種・仕事内容・給与・勤務地・働き方が最新になっているかを確かめましょう。物語の更新より、条件の更新が先です。
採用ページのおすすめの順番
応募者が知りたい順に並べると、創業の物語は「いまの会社の姿」のあと、「選考と応募方法」の前に置くのが自然です。

仕事内容や条件を後回しにして、物語を最初に長く置くと、応募者が知りたいことにたどり着けません。物語は、仕事と会社の姿が分かったうえで読むと、ぐっと意味を持ちます。詳しい沿革は別のページにまとめて、採用ページからは短く案内する方法もあります。
「理念」は、具体的な出来事で伝える
「地域を大切にしています」「品質にこだわっています」といった言葉は、どの会社にも書けてしまいます。会社らしさを伝えるのは、その言葉を裏づける具体的な出来事です。
| よくある言葉 |
伝わる素材の例 |
| 地域を大切にしています |
どの地域で、どんな仕事を、何年続けてきたか |
| 品質にこだわっています |
どんな工程や判断で、品質を守ってきたか |
| 新しい挑戦を歓迎します |
最近の変更と、その決定に関わった社員の話 |
あわせて、創業のころの姿勢と、いまの働き方が同じかどうかも確かめます。昔の美談だけで、いまの職場を説明しないことが大切です。
創業の物語をまとめる4つのステップ
- 資料を集める:年表・写真・製品の資料・当時の書類などが、どこにあるかを整理します。
- 当事者に話を聞く:具体的な出来事を聞き、録音と掲載について了解を得ます。
- 事実と証言を分ける:日付や肩書きを資料と照らし合わせ、資料で確かめられること・本人の記憶・編集上の解釈を分けて書きます。
- いまの仕事につなげる:その出来事が、いまの仕事や働き方にどうつながっているかを確かめ、応募情報の近くに置きます。
確かめられない逸話は、言い切らずに書くか、思い切って省きましょう。
公開前に確認するチェックリスト
- 創業年と会社の設立年を、取り違えていない
- 写真に写っている人・撮影した人・持っている人に、使ってよいか確認した
- 話を引用する人に、引用する内容と掲載先を確認してもらった
- 取引先の名前や顧客の写真、公開していない技術が含まれていない
- 募集要項と応募ボタンへ、迷わず進める
- 内容に責任を持つ確認者と、公開後の更新担当者が決まっている
社内で保管する資料と、採用向けに公開する原稿を分けて管理すると、確認する範囲が分かりやすくなります。
効果は、段階ごとに確かめる
創業の物語の効果は、閲覧 → 募集要項を開く → 応募 → 面談 → 採用・定着の段階に分けて確かめます。
- 閲覧:物語のページまで読んだ人は、どのくらいいるか
- 次の行動:読んだあとに、募集要項や応募ページを開いたか
- 応募・面談:面談で「会社を知ったきっかけ」「印象に残ったこと」を聞く
- 採用・定着:期間を決め、同じ時期に変えた条件や媒体も記録して比べる
ページが読まれたことは、応募や採用と同じではありません。比べる期間や、ほかに変えたことを記録しておかないと、増えた・減ったを物語だけの成果とは判断できません。
まとめ:条件を正確に、そのうえで物語を
- 創業の物語は、条件の代わりではなく、「なぜこの仕事を続けているのか」を伝える補足
- 順番は、仕事内容 → 条件 → いまの会社 → 創業の物語 → 応募方法
- 「理念」は具体的な出来事で伝え、効果は段階ごとに確かめる
会社の歩みを丁寧にたどると、社内の人にとっても「自分たちの仕事の意味」をあらためて言葉にする機会になります。採用ページは、その言葉を、これから仲間になる人に手渡す場所です。
会社の歩みを、伝わる記録に
TADOROOTSの「ルーツ経営プログラム」では、創業者や先代への聞き取りと、手元の資料をもとに、会社の歩みを記録にまとめるお手伝いをしています。まとめた記録は、カンパニールーツブックとして社内で受け継ぐことも、採用ページの素材として使うこともできます。くわしくはルーツ経営プログラム、料金はプラン診断・料金一覧でご覧いただけます。
よくある質問
Q. 長い沿革は、すべて採用ページに載せるべきですか。
すべて載せる必要はありません。応募者が仕事と会社を理解するのに役立つ出来事を選び、詳しい沿革は別のページにまとめて案内する方法がおすすめです。
Q. 創業者がすでに引退していて、話を聞けません。
当時を知る社員や家族の話、残っている書類や写真から組み立てることができます。確かめられない部分は言い切らず、「〜と伝えられています」のように、聞いた話であることが分かる書き方にしましょう。
Q. 古い写真がなくても作れますか。
作れます。確かめられる資料と聞き取りで構成を考えます。生成した画像を、創業当時の写真のように見せて使うことはしないでください。
Q. 社員のインタビューも載せたほうがいいですか。
いまの働き方を具体的に伝えたいときに有効です。載せる場合は本人の同意を得て、話した内容と掲載先を確認してもらいましょう。
Q. 創業の物語を載せれば、応募は増えますか。
必ず増えるとは言えません。採用には、労働条件や地域、求人媒体など多くの要因が関わります。閲覧・応募・面談・採用を分けて記録し、期間を決めて確かめることが大切です。
Q. 求人票に書く内容で、法律上気をつけることはありますか。
職業安定法では、求人の情報について、うその表示や誤解を招く表示をせず、正確で最新の内容に保つことが求められています。令和6年4月からは、職業安定法施行規則の改正により、就業場所と仕事内容の変更の範囲なども示すことになりました。くわしくは厚生労働省の案内や、社会保険労務士などの専門家にご確認ください。
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参照資料(2026-10-16確認)
構成・まとめ方・確かめ方は、本記事の編集上の提案です。以下の資料は求人情報の表示に関するもので、創業の物語の採用効果を示すものではありません。