相続生前贈与の話し合いに備えるには?税の確認と、家族に伝えたい思いの残し方
公開:更新:執筆:荻野光希(TADOROOTS 調査担当)
子や孫に財産を渡すことを考え始めると、税金のことと同じくらい、「どうして渡したいのか」という気持ちも大切だと感じるのではないでしょうか。
- 生前贈与の税のしくみが、少し複雑でよく分からない
- 渡したい理由や思いを、家族にきちんと伝えておきたい
- 家族で話し合う前に、何を準備すればいいのだろう
税のことと、家族に伝えたい思いは、役割を分けて準備するのがおすすめです。税のことは制度と専門家で確かめ、思いは家族が読み返せる記録に残す。そうすると、話し合いもぐっと落ち着いて進められます。
この記事では、法律事務所で相続・信託の実務に10年携わり、TADOROOTSで家族の記録づくりを手がけてきた調査担当が、生前贈与の話し合いに備えるための整理のしかたをご紹介します。
この記事を読むと分かること
- 生前贈与の税で、確かめておきたいポイント
- 贈与の記録を3つに分ける整理のしかた
- 家族で話し合う前のチェックリスト
- 思いを伝える記録の残し方
生前贈与の税で、確かめておきたいこと
生前贈与の税は、「年110万円」「7年」といった数字だけで判断せず、どの制度を使うか・いつ贈与するかで確かめることが大切です。
相続時精算課税の基礎控除
2024年1月以後の贈与から、相続時精算課税には年110万円の基礎控除ができました。ただし、使える人の条件や、選ぶときの届出、一度選ぶと暦年課税に戻れないことなど、確かめることがいくつもあります。
相続税に加算される期間
暦年課税の贈与のうち、相続や遺贈で財産を受け取る人が、亡くなる前の一定期間に受けた贈与は、相続税の計算に加えられます。この期間は3年から7年へ、段階的に延びています。2026年末までに相続が始まる場合は原則として3年以内、2027〜2030年は2024年1月1日以後の贈与、2031年以後は7年以内です(延びた期間の分には、合計100万円までを差し引く決まりもあります)。
どちらも、国税庁の案内と、税理士・税務署で確かめましょう。
贈与の記録は、3つに分けて残す
贈与にかかわる記録は、①贈与の事実、②財産のいきさつ、③家族へのメッセージの3つに分けて残すと、あとで見返しやすくなります。
| 記録 |
書き留めること |
| 贈与の事実 |
日付・何を・いくら、契約書や振込の記録 |
| 財産のいきさつ |
いつ・誰が手に入れたか、関係する資料 |
| 家族へのメッセージ |
渡したい理由、願い、感謝の気持ち |
家族へのメッセージは、贈与契約書や税の申告書の代わりにはなりません。また、遺留分や特別受益など、法律上の問題が気持ちを書くことで解決するわけでもありません。法律や税にかかわることは、専門家と確かめましょう。
家族で話し合う前のチェックリスト
- 財産の持ち主と中身を、資料で確かめた
- 本人の気持ちを、まわりの推測とは分けて書き留めた
- 誰と共有するか、共有しない情報は何かを決めた
- 専門家に聞きたいことを、メモにまとめた
「この土地を大切にしてほしい」といった言葉は、まず本人の希望として書き留めます。家族の誰かが必ず継ぐべきだと決めつけず、それぞれの考えも聞いてみましょう。
思いを伝える記録の残し方
思いを伝える記録は、「なぜ渡したいのか」を、その財産にまつわる家族の歴史と一緒に残すと、受け取る人に伝わりやすくなります。
たとえば、土地や家なら、いつ・誰が手に入れ、どんなふうに暮らしてきたのか。お店や会社なら、どんな思いで続けてきたのか。家族の歴史と重ねて書くと、財産が「お金の話」だけでなく、「家族が大切にしてきたもの」として伝わります。
家系図を一緒に残しておくと、財産が家族の中でどう受け継がれてきたのかも見渡せます。
まとめ:税は専門家と、思いは記録で
- 税は「年110万円」「7年」だけで判断せず、制度と時期を専門家と確かめる
- 記録は「贈与の事実」「財産のいきさつ」「家族へのメッセージ」に分ける
- 思いは、財産にまつわる家族の歴史と一緒に残すと伝わりやすい
財産は、家族が歩んできた時間の結晶でもあります。その時間ごと手渡せたら、受け取る人にとって、きっと特別な贈り物になります。
家族の歩みを、思いと一緒に残す
TADOROOTSでは、ご本人のお話を聞き取り、家族の歩みや思いを読み返せる記録にまとめるお手伝いと、家族のつながりを家系図にまとめるお手伝いをしています。税や法律の判断は行っていません。くわしくは人生の記録サービス、家系図制作・ルーツ調査、料金はプラン診断・料金一覧でご覧いただけます。
よくある質問
Q. 年110万円以内の贈与なら、何も手続きはいりませんか。
一概には言えません。相続時精算課税を選んでいる場合と、暦年課税の場合で扱いが違います。どの制度にあたるかを、国税庁の案内や税理士・税務署で確かめましょう。
Q. 相続税に加算される贈与は、何年前までですか。
暦年課税の贈与は、3年から7年へ段階的に延びています。2026年末までに相続が始まる場合は原則3年以内、2027〜2030年は2024年1月1日以後の贈与、2031年以後は7年以内です。くわしくは国税庁の案内でご確認ください。
Q. 家族の歴史を残せば、贈与の理由を説明できますか。
ご本人が望む範囲で、背景を伝える材料にはなります。ただし、家族の納得や、法律・税の上での評価を約束するものではありません。
Q. 気持ちを書いた手紙は、贈与契約書の代わりになりますか。
なりません。贈与の事実は、契約書や振込の記録など、手続きのための資料で残しましょう。
Q. 税の相談もTADOROOTSにできますか。
税の判断は、税理士・税務署にご相談ください。TADOROOTSは、家族のつながりや人生の記録づくりをお手伝いしています。
Q. 家族の誰と、どこまで共有すればいいですか。
ご本人の希望を大切に決めましょう。財産の資料や戸籍は、必要以上に広く配らないことも大切です。
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参照資料(2026-10-16確認)
税の扱いは、個別の事情や、贈与・相続の時期によって変わります。