相続相続の前に家系図を作っておくと安心な理由|相続人になる人と必要な書類が分かる
公開:更新:執筆:荻野光希(TADOROOTS 調査担当)
「相続」と聞くと、まだ先のこと、うちにはあまり関係のないこと、と感じる方も多いかもしれません。それでも、親戚の法事で久しぶりに顔を合わせたときや、実家の片づけで古い書類が出てきたとき、ニュースで相続登記の話題を目にしたときなどに、ふと家族のことを考えることがありますよね。
そんなとき、こんな疑問が浮かんだことはないでしょうか。
- うちの場合、相続に関わるのは誰になるのだろう
- 家族から、前の結婚のことや養子のことなど、くわしく聞いたことのない話を耳にしたことがある
- 何年も連絡を取っていない親戚がいるけれど、関係してくるのかな
どれも、家族の中ではなかなか口に出しにくいことです。だからこそ、家族の関係を一枚の図にして、前もって見渡しておくと安心です。図があれば、みんなで同じものを見ながら落ち着いて話せますし、いざというときにも慌てずに済みます。
この記事では、法律事務所で相続・信託の実務に10年携わり、家系図づくりのために戸籍を読んできた調査担当が、相続の前に家系図を作っておく理由と、知っておきたい手続きの基本をご紹介します。
この記事を読むと分かること
- 相続の前に家系図を作っておくと、何が安心なのか
- 相続人になる人の順番
- 家系図・戸籍・法定相続情報一覧図、それぞれの役割
- 不動産がある場合の、相続登記の期限
相続の前に家系図を作っておくと、何が安心なの?
相続の前に家系図を作っておくと、相続に関わりそうな人を前もって見渡せる、思いがけない親族に早く気づける、家族が同じ図を見て話し合えるという3つの安心があります。
1. 相続人になりそうな人を、前もって見渡せる
家族の関係を図にすると、誰が相続に関わりそうかが一目で分かります。「思っていたより関係する人が多い」と分かるだけでも、準備の進め方が変わります。
2. 思いがけない親族に、早めに気づける
戸籍をさかのぼると、前の結婚のときの子どもや、養子縁組をした人など、家族も知らなかった親族が見つかることがあります。早めに分かっていれば、事情を知っている家族から、落ち着いて話を聞くこともできます。
3. 家族みんなで、同じ図を見て話せる
「誰が、どんな関係なのか」を口で説明するのは難しいものです。一枚の図があれば、離れて暮らすきょうだいとも同じ前提で話せます。
まず知っておきたい「相続人になる人の順番」
相続人になる人は、民法で決められています。配偶者はいつも相続人になり、それ以外の人は子(第1順位)→ 父母などの直系尊属(第2順位)→ 兄弟姉妹(第3順位)の順で、いちばん上の順位の人だけが相続人になります。

- 配偶者は、いつも相続人になります
- そのうえで、子 → 父母 → 兄弟姉妹の順に、いちばん上の順位の人が相続人になります
- 子が先に亡くなっていれば孫が、兄弟姉妹が先に亡くなっていれば甥・姪が、代わりに相続人になります
- 父母がどちらも亡くなっていて、祖父母が健在なら、祖父母が第2順位になります
たとえば、子どもがいない方で、その方の両親もすでに亡くなっている場合は、配偶者と、その方の兄弟姉妹が相続人になります。こうしたケースでは、ふだん付き合いの少ない親族が関わることもあるので、前もって図にしておくと安心です。
実際に誰が相続人になるかは、遺言があるか、相続放棄をした人がいるかなどでも変わります。最終的な判断は、専門家にご相談ください。
家系図・戸籍・一覧図、それぞれの役割
家系図は家族で関係を見渡すための記録、戸籍は親族の関係を証明する公文書、法定相続情報一覧図の写しは戸籍の束の代わりに手続きで使える法務局の証明書です。似ているようで役割が違うので、順に見ていきましょう。

家系図:家族で見渡すための記録
家系図は、家族の関係を見渡し、家族の歴史を残すためのものです。とても役に立つ記録ですが、家系図そのものが、相続の手続きの証明書になるわけではありません。
戸籍・除籍:関係を証明する公文書
銀行や法務局での相続の手続きでは、亡くなった人の生まれてから亡くなるまでの戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)と、相続人の戸籍が必要になります。何通にもなるので、手続きのたびに束で出すのは大変です。
法定相続情報一覧図の写し:戸籍の束の代わりになる証明書
そこで便利なのが、法務局の「法定相続情報証明制度」です。戸籍一式と、相続関係を書いた一覧図を法務局に出すと、登記官が確認したうえで、一覧図の写しを無料で、必要な通数だけ出してもらえます。銀行・不動産の登記・相続税の申告など、いくつもの手続きを同時に進めるときに、戸籍の束の代わりに使えます(提出先によって条件があるので、事前に確かめておくと安心です)。一覧図は、申出の翌年から5年間、法務局で保管されます。
家系図づくりで集めた戸籍は、手続きの準備にもなります
家系図を作るときに集める戸籍と、相続の手続きで必要になる戸籍は、重なる部分がたくさんあります。家系図づくりで戸籍をさかのぼっておけば、どこの役所に、どんな戸籍があるのかが前もって分かるので、いざ手続きをするときの準備がずっと楽になります。
ただし、実際の手続きでは、その時点の内容が載った戸籍をあらためて取る必要があります。手続きに使う戸籍は、提出先の案内に合わせて用意しましょう。
不動産があるなら、相続登記の期限に気をつけて
令和6年(2024年)4月1日から、相続登記の申請が義務になりました。相続で不動産を受け継いだことを知った日から、3年以内に登記を申請する必要があります。正当な理由なく申請しないと、10万円以下の過料の対象になることがあります。
それより前に相続した不動産で、まだ登記をしていないものも対象です。この場合、すでに相続を知っているなら、原則として令和9年(2027年)3月31日までに登記をする必要があります。
期限内に話し合いがまとまらないときのために、「自分が相続人です」と法務局に申し出るだけの簡単な手続き(相続人申告登記)も用意されています。ただし、そのあと遺産分割がまとまったら、その日から3年以内に、あらためて相続登記をする必要があります。家系図の完成を待って期限を過ぎてしまうことのないよう、不動産がある場合は早めに法務局や司法書士に相談しましょう。
相続の準備として家系図を作るときの3つのコツ
- どの戸籍で分かったかを書いておく:人物ごとに、根拠になった戸籍を控えておくと、手続きのときにすぐ確かめられます。
- 分からないところは「要確認」のままにする:推測で埋めず、確かめていないことを分けておきます。
- 作った日を書いておく:生まれる人・亡くなる人・結婚する人がいれば、家族の関係は変わります。作った日を書いておけば、いつの時点の図かが分かります。
まとめ:家族の関係を見渡せると、相続の話が穏やかになります
- 相続人になるのは配偶者と、子 → 父母 → 兄弟姉妹の、いちばん上の順位の人
- 家系図は家族で見渡すための記録。手続きには戸籍や法定相続情報一覧図の写しを使う
- 不動産を相続したら、3年以内に相続登記を
相続は「財産の話」になりがちですが、家系図を囲んで話すと、自然と「おじいさんはこんな人だった」「この家はここから始まった」という家族の話になります。家族の歴史を知ることが、これからの家族の話し合いの、やわらかな土台になってくれます。
家族の関係と歴史を、一枚の家系図に
TADOROOTSでは、戸籍をさかのぼって、家族の関係とご先祖様の歴史を一枚の家系図にまとめるお手伝いをしています。相続人の確定や登記などの手続きそのものは行っていませんが、家族みんなで見渡せる家系図は、話し合いの準備として、また家族の記録として長く役立ちます。プランの違いは家系図制作・ルーツ調査、料金はプラン診断・料金一覧でご覧いただけます。家族の思い出や、ご自身の歩みを残したい方は人生の記録サービスもご覧ください。
よくある質問
Q. 家系図があれば、相続の手続きに戸籍はいりませんか。
いります。家系図は家族で関係を見渡すための記録で、手続きの証明書にはなりません。銀行や法務局での手続きには、戸籍か、法務局が出す法定相続情報一覧図の写しが必要です。
Q. 法定相続情報一覧図は、自分で作れますか。
作れます。戸籍一式と、自分で作った一覧図を法務局に出します。書き方の見本は法務局のホームページで公開されています。手続きに不安があるときは、司法書士などの専門家に相談しましょう。
Q. 前の結婚のときの子どもも、相続人になりますか。
なります。親が離婚していても、親子の関係は変わらないためです。前の結婚のときの子どもも、いまの家族の子どもと同じ第1順位の相続人になります。
Q. 何年も会っていない親族も、相続人になることがありますか。
あります。相続人になるかどうかは、付き合いの深さではなく、法律で決められた順番で決まります。前もって家系図で関係を見渡しておくと、連絡が必要になりそうな人に早く気づけます。
Q. 相続登記を期限までにできないと、どうなりますか。
正当な理由なく申請しないと、10万円以下の過料の対象になることがあります。話し合いがまとまらないときは、相続人申告登記という簡単な申出で、ひとまず義務を果たしたことになります。ただし、そのあと遺産分割がまとまったら、その日から3年以内に、あらためて相続登記をする必要があります。早めに法務局や司法書士に相談しましょう。
Q. 家系図は、いつごろ作るのがいいですか。
思い立ったときが、いちばんのタイミングです。家族の昔の話は、覚えている人に聞けるうちに聞いておくと、戸籍だけでは分からない家族の姿が見えてきます。古い戸籍は保存期間を過ぎると取れなくなることもあるので、早めに集めておくと安心です。
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参照資料(2026-10-16確認)
相続人の確定や登記など、個別の手続きは、法務局・専門家にご確認ください。