相続遺言書だけでは伝えきれない思いを残すには?遺言書と人生の記録の役割の分け方
公開:更新:執筆:荻野光希(TADOROOTS 調査担当)
財産のことを整理する時間は、これまでの人生を振り返るきっかけにもなります。遺言書の準備を考え始めたとき、こんな思いが浮かぶことはないでしょうか。
- 遺言書には財産のことしか書けないのだろうか
- 家族への感謝や、これまでの歩みも伝えたい
- 遺言書と、手紙や思い出の記録は、どう分ければいいの?
遺言書と人生の記録は、それぞれに役割があります。法律にかかわることは遺言書で、気持ちや歩みは手紙や記録でと分けて考えると、どちらも準備しやすくなります。
この記事では、法律事務所で相続・信託の実務に10年携わり、TADOROOTSで家族の記録づくりを手がけてきた調査担当が、遺言書と人生の記録の役割の分け方をご紹介します。
この記事を読むと分かること
- 遺言書に、気持ちを書き添えられるのか
- 法務局の自筆証書遺言書保管制度のポイント
- 遺言書・手紙・人生の記録の役割の分け方
- 人生の記録を始めるための3つの問い
遺言書に、気持ちを書き添えることはできる?
できます。遺言書には、財産の分け方などとあわせて、家族への思いや、そう決めた理由を「付言事項」として書き添えることができます。
ただし、付言事項に書いた希望には、法律上の効力はありません。気持ちを伝えることと、法律上の効力が生じることは別です。遺言書の内容や書き方は、弁護士・公証人などの専門家にご確認ください。
法務局で、遺言書を預かってもらう制度
自分で書いた遺言書(自筆証書遺言)は、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」で預かってもらえます。保管の申請手数料は、遺言書1通につき3,900円です。
この制度で保管された遺言書は、亡くなったあとの家庭裁判所での「検認」という手続きが要りません。紛失や書き換えの心配も減ります。
一方で、この制度は遺言書を預かるもので、法務局は形式の確認はしますが、遺言の内容が有効かどうかまでは保証しません。内容については、専門家に相談しておくと安心です。
遺言書・手紙・人生の記録、それぞれの役割
役割を分けると、財産のことは遺言書、伝えたい気持ちは手紙、これまでの歩みは人生の記録になります。
| 準備するもの |
残す内容 |
| 遺言書 |
財産の分け方など、法律にかかわること |
| 家族への手紙 |
誰に、どんな気持ちを伝えたいか |
| 人生の記録 |
出来事・写真・本人の言葉と、共有する範囲 |
手紙や人生の記録の中で財産の分け方に触れると、遺言書と食い違って、かえって家族が迷うことがあります。財産のことは遺言書にまとめ、手紙や記録は気持ちと歩みを伝えるものにしておきましょう。
人生の記録は、3つの問いから始める
人生の記録は、次の3つの問いに答えることから始められます。
- どんな出来事を、誰に伝えたいですか
- その話にまつわる写真・日記・手紙はありますか
- 家族だけに残したい話と、ほかの人にも見せてよい話は、どれですか
出来事の日付は手元の資料で確かめ、記憶で話したことは「本人の話」として残します。資料と記憶が食い違っても、無理に一つに決めなくて大丈夫です。話したくないことは、残さなくて構いません。
まとめ:法律のことは遺言書、気持ちと歩みは記録で
- 遺言書には、付言事項として気持ちを書き添えられる(法律上の効力はない)
- 法務局の保管制度は1通3,900円。検認が不要になるが、内容の有効性は保証しない
- 財産のことは遺言書に、気持ちと歩みは手紙や人生の記録に分けて残す
遺言書が「何を」遺すかを伝えるものだとすれば、人生の記録は「どんな思いで生きてきたか」を伝えるものです。両方がそろうと、家族はきっと、あなたの選んだことを、あなたの言葉と一緒に受け取れるはずです。
これまでの歩みを、家族が読み返せる一冊に
TADOROOTSの「人生の記録サービス」では、ご本人のお話を聞き取り、写真や資料と一緒に、家族が読み返せる記録にまとめるお手伝いをしています。遺言書の作成や内容の判断は行っていません。くわしくは人生の記録サービス、家族のつながりを残すなら家系図制作・ルーツ調査、料金はプラン診断・料金一覧でご覧いただけます。
よくある質問
Q. 遺言書に、家族への感謝を書いてもいいですか。
書けます。付言事項として、家族への思いやその遺言にした理由を書き添えられます。ただし、法律上の効力はありません。
Q. 自筆証書遺言書保管制度の手数料は、いくらですか。
遺言書1通につき3,900円です。くわしくは法務局の案内でご確認ください。
Q. 法務局に預ければ、遺言書の内容も確かめてもらえますか。
いいえ。保管制度は遺言書を預かるもので、内容が有効かどうかまでは保証しません。内容については、弁護士や公証人などの専門家に相談しましょう。
Q. 遺言書を作っていなくても、人生の記録は残せますか。
残せます。人生の記録は、遺言書とは別のものです。伝えたい話から、気軽に始められます。
Q. 手紙や記録に、財産のことを書いてもいいですか。
おすすめしません。遺言書の内容と食い違うと、家族が迷う原因になることがあります。財産のことは遺言書にまとめましょう。
Q. 人生の記録は、誰に見せるか自分で決められますか。
決められます。共有する相手や範囲は、ご本人の希望を大切に決めましょう。ほかの人が写っている写真や、ほかの人の話を載せるときは、その人の了解も確かめます。
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参照資料(2026-10-16確認)
以下は保管制度の資料で、人生の記録に法律上の効力を与えるものではありません。