先祖調査戸籍の様式の見分け方|明治から平成まで、書き方の違いが分かる
公開:執筆:荻野光希(TADOROOTS 調査担当)
先祖調査のために、戸籍を何通か取り寄せてみたら――
- 1通目は横書きで印刷されているのに、2通目は筆の縦書き
- 「戸主」と書いてある戸籍と、「筆頭者」と書いてある戸籍がある
- おじいさんのきょうだいが、新しい戸籍には載っていない
「同じ戸籍なのに、どうしてこんなに違うの?」と戸惑った方も多いのではないでしょうか。
実はこれ、戸籍が時代ごとに書き方(様式)を変えてきたためです。どの時代の戸籍なのかが分かると、そこに誰が載っているはずか、どこを読めばよいのかが見えてきて、古い戸籍を読むのがぐっと楽になります。
この記事では、TADOROOTSで家系図づくりのために戸籍を読んできた調査担当が、先祖調査でよく出会う戸籍の書き方の違いを、見分けるポイントと一緒にご紹介します。
この記事を読むと分かること
- 戸籍の書き方が、時代ごとにどう変わってきたか
- 手元の戸籍がどの時代のものか、見分けるポイント
- 新しい戸籍に載っていない人が、古い戸籍には載っている理由
手元の戸籍はどの時代?まずはここを見てください
いちばん簡単な見分け方は、次の3つです。
- 横書きで印刷されている → 平成以降の、コンピュータで管理された戸籍
- 縦書きで「筆頭者」の欄がある → 戦後(昭和23年式)の戸籍
- 縦書きで「戸主」の欄がある → 戦前(明治・大正)の戸籍
さらに戦前の戸籍は、細かく3つの書き方に分かれます。記事の最初の図とあわせて、順番に見ていきましょう。
書き方の移り変わり一覧
様式の名前は、その書き方が決められた年を表しています。ただし、新しい書き方が決まってもすぐに書き換えられたわけではないので、「明治19年式の戸籍に、大正時代の出来事が書かれている」ということもよくあります。
| 様式(決められた年) |
見分けるポイント |
明治5年式(壬申戸籍) (1872年) |
いまは見ることも取り寄せることもできません |
明治19年式 (1886年) |
家が単位。筆の縦書きで、「前戸主」との続柄が書かれています。取り寄せられるいちばん古い書き方です |
明治31年式 (1898年) |
家が単位。「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」(戸主になった理由と日付)の欄があります |
大正4年式 (1915年) |
家が単位。上の欄がなくなり、戸主になった理由は戸主の欄の文章に書かれます |
昭和23年式 (1948年) |
夫婦と子が単位。「戸主」ではなく「筆頭者」の欄があります |
平成6年式 (1994年〜) |
夫婦と子が単位。横書きで印刷された、コンピュータで管理された戸籍です |
戦前の戸籍は、大家族が1冊にまとまっています
明治19年式・明治31年式・大正4年式の3つは、どれも「家」を単位にした戸籍です。家の長である「戸主」を中心に、その家に属する妻・子・孫・兄弟・おじ・おばなどが、まとめて1冊に書かれています。
結婚した子どもの家族も、分家しなければ同じ戸籍に載っていたので、1冊に十数人以上が並んでいることも珍しくありません。ご先祖様の大家族の暮らしが目に浮かぶようで、先祖調査ではいちばんわくわくする戸籍かもしれません。
明治19年式:取り寄せられるいちばん古い戸籍
いま取り寄せられる戸籍の中で、いちばん古い書き方です。筆の縦書きで、戸主以外の人には「前戸主の二男」のように、前の戸主との続柄が書かれています。崩した字が多く、読むのに少しコツがいりますが、江戸時代の終わりごろに生まれたご先祖様に出会えることもあります。読み方のコツは、こちらの記事でご紹介しています。
明治31年式:「戸主になった理由」の欄が目印
明治31年(1898年)に、家族のきまりを定めた民法が始まったのに合わせて作られた書き方です。戸主の欄の近くに「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」という欄があり、「家督相続」「隠居」などの言葉が書かれています。言葉の意味は、こちらの記事で紹介しています。
大正4年式:家を単位にした、最後の書き方
大正4年(1915年)から使われた書き方です。見た目は明治31年式とよく似ていますが、「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」の欄がなくなりました。この欄があるかどうかで見分けます。
戦後の戸籍は、夫婦と子が単位になりました
昭和23年式:「筆頭者」の欄ができた
戦後、民法が変わって「家」の制度がなくなり、昭和23年(1948年)からは夫婦とその子を単位にした戸籍になりました。「戸主」の代わりに「筆頭者」の欄ができ、子どもが結婚すると、親の戸籍から出て新しい戸籍が作られるようになりました。
戦前の戸籍は、すぐに書き換えられたわけではありません。昭和32年の法務省令にもとづいて、各市区町村が順番に書き直し、多くは昭和30年代から40年代のはじめにかけて切り替わりました。
平成6年式:横書きの、コンピュータで管理された戸籍
平成6年(1994年)から、戸籍をコンピュータで管理できるようになりました。横書きで印刷された、いまの戸籍です。切り替わった時期は、市区町村ごとに違います。
新しい戸籍に載っていない人は、古い戸籍にいます
「おじいさんのきょうだいが、新しい戸籍に載っていない」――これは、とてもよくある疑問です。
戸籍を新しい書き方に作り直したとき、作り直す前の戸籍は「改製原戸籍(かいせいげんこせき)」として残されます。そして、作り直した時点で、結婚や死亡ですでに戸籍から抜けていた人は、新しい戸籍には書き写されません。
たとえば、昭和の作り直しより前に結婚して家を出たおばさんや、亡くなったおじいさんのきょうだいは、新しい戸籍には載っていないのです。古い戸籍を取り寄せると、ちゃんとそこにいます。先祖調査で、新しい戸籍から古い戸籍へと順番にさかのぼっていくのはこのためです。
いちばん古い「壬申戸籍」は見られません
明治5年(1872年)に作られた最初の全国的な戸籍は、「壬申(じんしん)戸籍」と呼ばれます。身分などについての差別的な記載が含まれていたため、昭和43年(1968年)からは封をして保管されていて、子孫であっても見ることはできません。
そのため、戸籍でたどれるのは、基本的に明治19年式の戸籍までです。それでも、明治19年式の戸籍には前の代の戸主も書かれているので、江戸時代の終わりごろまで、ご先祖様をたどれることがよくあります。
まとめ:書き方が分かると、古い戸籍が読みやすくなります
- 横書きなら平成以降、「筆頭者」なら戦後、「戸主」なら戦前の戸籍
- 戦前の戸籍は「家」が単位で、大家族が1冊にまとまっている
- 新しい戸籍に載っていない人は、作り直す前の古い戸籍に載っている
書き方の違いが分かると、バラバラに見えていた戸籍が、時代をさかのぼる一本の道のようにつながって見えてきます。
書き方の違う戸籍を、一つの家系図につなぎます
明治から平成まで、書き方の違う戸籍を何通も読み、同じ人を見つけてつないでいくのは、根気のいる作業です。TADOROOTSでは、戸籍を集めて書き方ごとに読み分け、ご先祖様一人ひとりを家系図の中に位置づけていきます。手元の戸籍から、どこまでさかのぼれそうか知りたい方は、お気軽にご相談ください。プランの違いは家系図制作・ルーツ調査、料金はプラン診断・料金一覧でご覧いただけます。
よくある質問
Q. 戸籍で、何年ごろまでさかのぼれますか。
取り寄せられるいちばん古い書き方は明治19年式です。家によって違いますが、明治19年式の戸籍には前の代の戸主も書かれているため、江戸時代の終わりごろに生まれた人までたどれることがよくあります。ただし、保存期間を過ぎて処分された戸籍は取り寄せられません。
Q. 手元の戸籍がどの書き方か、どこを見れば分かりますか。
まず、横書きか縦書きかを見ます。横書きなら平成以降の戸籍です。縦書きなら、「戸主」と「筆頭者」のどちらの欄があるかを見ます。「筆頭者」なら戦後の昭和23年式、「戸主」なら戦前の戸籍です。戦前の戸籍で「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」の欄があれば明治31年式です。
Q. 改製原戸籍と除籍謄本は、何が違いますか。
改製原戸籍は、書き方を作り直したために使われなくなった、作り直す前の戸籍です。除籍は、載っている人が結婚・死亡・本籍の移動などで全員いなくなり、閉じられた戸籍です。どちらも、先祖調査で取り寄せる戸籍です。
Q. 新しい戸籍に、祖父のきょうだいが載っていないのはなぜですか。
戸籍を作り直した時点で、結婚や死亡ですでに戸籍から抜けていた人は、新しい戸籍に書き写されないためです。作り直す前の改製原戸籍や、もっと古い戸籍を取り寄せると載っています。
Q. 壬申戸籍を見ることはできますか。
できません。差別的な記載が含まれていたため、昭和43年(1968年)から封をして保管されていて、子孫であっても見ることはできません。
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参照資料(2026-10-16確認)