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戸籍用語集|古い戸籍の「家督相続」「隠居」ってどういう意味?

戸主・家督相続・隠居など、古い戸籍に出てくる言葉を並べた図

古い戸籍を一字ずつ読み進めて、やっと一文が読めた。ところが――

「明治三拾年拾月廿日 隠居ニ因リ家督相続」

字は読めたのに、何が起きたのか、さっぱり分からない。 そんな経験はありませんか?

明治・大正の戸籍には、いまはあまり使わない言葉がたくさん出てきます。でも、言葉の意味が分かると、戸籍の一行一行から「この年に、ひいおじいさんが家を継いだんだ」「おばあさんは、この家にお嫁に来たんだ」と、家族の出来事が見えてくるようになります。

この記事では、TADOROOTSで家系図づくりのために戸籍を読んできた調査担当が、古い戸籍によく出てくる言葉を、家族の出来事がイメージできるようにやさしく解説します。

この記事を読むと分かること

  • 「戸主」「家督相続」「隠居」など、古い戸籍によく出てくる言葉の意味
  • 戸籍の「受附」「送付」から分かる、ご先祖様の暮らした場所
  • 「廿」「卅」など、日付の読み方

ここでの説明は、法律の正確な定義ではなく、戸籍を読んで家族の出来事をつかむための説明です。相続の手続きなどで法的な判断が必要なときは、専門家にご確認ください。

まずは「戸主」が誰かを見つけよう

戦前の戸籍は、「家」を単位に、家の長である「戸主」を中心に書かれています。戸主のほかに、その家に属する妻・子・孫・兄弟・おじ・おばなどが、1冊にまとめて書かれていました。

ですから、古い戸籍を読むときは、まず戸主が誰かを見つけるのがコツです。ほかの人の続柄は、戸主(または前の戸主)から見た関係で書かれています。

言葉(読み) 意味
戸主
(こしゅ)
家の長です。家族の結婚や養子縁組に同意するなど、家の中で大きな役割を持っていました
前戸主
(ぜんこしゅ)
いまの戸主の前に、戸主だった人です。「前戸主の二男」のように、続柄の基準になることもあります
家族
(かぞく)
戸主以外で、その家に属している人です
筆頭者
(ひっとうしゃ)
戦後の戸籍で、いちばん初めに書かれている人です。戸主とは違い、家族に対して特別な権限はありません
続柄
(つづきがら)
戸主(戦後は筆頭者)や父母から見た関係です。長男・二女・妻・母・孫などと書かれます
嫡出子
(ちゃくしゅつし)
結婚している夫婦の間に生まれた子です
庶子
(しょし)
結婚していない父母の間に生まれ、父が自分の子と認めた(認知した)子です。戦前の戸籍に出てくる言葉です
私生子
(しせいし)
結婚していない父母の間に生まれ、父の認知を受けていない子です。戦前の戸籍に出てくる言葉です

家族の出入りを表す言葉

戸籍の中で人が「入った」「出た」を表す言葉です。結婚や養子縁組で、ご先祖様が家から家へ移っていく様子が読み取れます。

言葉(読み) 意味
入籍
(にゅうせき)
ある家の戸籍に入ることです。結婚・養子縁組などで入ります
除籍
(じょせき)
ある戸籍から抜けることです。結婚して別の家に移った、亡くなった、などの理由があります。古い戸籍では、抜けた人の名前に×の線が引かれます。全員が抜けて閉じられた戸籍そのものも「除籍」と呼びます
復籍
(ふくせき)
離婚や離縁(養子縁組の解消)で、元の家に戻ることです
分家
(ぶんけ)
家族の一人が、元の家から分かれて新しい家を立てることです。戸主の同意が必要でした
一家創立
(いっかそうりつ)
入る家がないなどの理由で、新しく家を立て、その家の戸主になることです(自分から分かれる「分家」とは別です)
廃家
(はいけ)
戸主が別の家に入るために、自分の家をなくすことです
絶家
(ぜっけ)
戸主がいなくなり、継ぐ人もいないために、家がなくなることです
入夫婚姻
(にゅうふこんいん)
女性の戸主と結婚した夫が、妻の家に入る結婚です。夫が戸主になる場合と、妻が戸主のままの場合があります
婿養子縁組
(むこようしえんぐみ)
娘と結婚する男性を、同時に養子として家に迎えることです
養子縁組
(ようしえんぐみ)
生まれによる親子ではない人と、法律上の親子になることです(親戚の子や孫を養子にすることもあります)。家を継いでもらうための養子縁組がよく見られます

結婚して家を移った人は、生まれた家の戸籍と、移った先の戸籍の両方に名前が出てきます。名前の字が読めないときは、もう一方の戸籍で読めることもあります。読み方のコツは、こちらの記事で紹介しています。

家を継ぐときの言葉

冒頭の「隠居ニ因リ家督相続」も、ここの言葉です。

言葉(読み) 意味
家督相続
(かとくそうぞく)
戸主の立場と家の財産を、一人が受け継ぐことです。多くは長男が継ぎました。戸主が亡くなったときだけでなく、隠居などでも起こります
隠居
(いんきょ)
戸主が生きているうちに戸主をやめ、次の人に家を譲ることです
家督相続人
(かとくそうぞくにん)
家督相続で、次の戸主になる人です
遺産相続
(いさんそうぞく)
戦前の制度で、戸主ではない家族が亡くなったときの財産の受け継ぎです

ですから、「明治三拾年拾月廿日 隠居ニ因リ家督相続」は、「明治30年10月20日に、前の戸主が隠居したので、この人が家を継いだ」という意味になります。前の戸主はこのあとも、家族として同じ戸籍に載り続けます。

「受附」「送付」から、暮らした場所が見えてくる

戸籍の文章の終わりには、「〇〇村長受附」「同月〇日送付」のような言葉がよく書かれています。一見ただの事務的な言葉ですが、実はご先祖様が実際に暮らしていた場所の手がかりになります。

言葉(読み) 意味
届出
(とどけで)
出生・結婚・死亡などを、役所に届けることです
受附
(うけつけ)
届けを受け付けたことです。「〇〇村長受附」のように、どこの役所が受け付けたかが書かれます
送付
(そうふ)
届けを受け付けた役所から、本籍地の役所へ書類が送られてきたことです
職権
(しょっけん)
届けによらず、役所が自分で記載したことです
本籍
(ほんせき)
その戸籍が置かれている場所です。実際に住んでいた場所とは違うことがあります

「送付」と書かれていれば、本籍地とは別の場所で届けが出された、ということです。たとえば、本籍は田舎の村のままで、実際には都会で暮らしていた――そんな家族の姿が浮かんでくることもあります。

戸籍そのものに関する言葉

言葉(読み) 意味
除籍簿
(じょせきぼ)
載っている人が全員いなくなり、閉じられた戸籍をまとめたものです。写しを「除籍謄本」といいます
改製原戸籍
(かいせいげんこせき)
書き方を新しく作り直したときに残された、作り直す前の戸籍です
族称
(ぞくしょう)
戦前の戸籍に書かれていた身分の呼び名(華族・士族・平民)です。差別につながるおそれのある記載は、写しを出すときに見えないようにされていることがあります
消除
(しょうじょ)
記載を消すことです

戸籍の書き方の違いについては、こちらの記事でくわしく紹介しています。

日付の読み方:「廿」は20、「卅」は30

古い戸籍の日付は、和暦と漢数字で書かれています。見慣れない字も出てきますが、覚えてしまえば簡単です。

書き方 読み方
元年 1年目の年(例:明治元年=1868年)
廿 20(例:廿五日=25日)
卅 30(例:卅日=30日)
壹・貳・參・拾 一・二・三・十(書き換えを防ぐために使われた字)

和暦を西暦に直すときは、元号が変わった年に注意しましょう。たとえば明治45年と大正元年は、どちらも1912年です(7月30日に元号が変わりました)。

まとめ:言葉が分かると、戸籍が家族の物語になる

  • 古い戸籍は、まず「戸主」が誰かを見つけるところから
  • 「家督相続」「隠居」「入夫婚姻」は、家を継ぐ・家に入るという、家族の大きな出来事
  • 「受附」「送付」は、ご先祖様が実際に暮らしていた場所の手がかり

言葉の意味が分かると、戸籍の一行一行が、ご先祖様が生きた人生の一場面として読めるようになります。

戸籍の言葉を、家族の物語として家系図に

TADOROOTSでは、戸籍の言葉を一つずつ読み解き、誰がいつどの家に入り、誰が家を継いだのかを、家系図の中に描き出していきます。手元の戸籍から家系図を作ってみたい方は、お気軽にご相談ください。プランの違いは家系図制作・ルーツ調査、料金はプラン診断・料金一覧でご覧いただけます。

よくある質問

Q. 「家督相続」と、いまの相続は何が違いますか。

家督相続は、戸主の立場と家の財産を、多くの場合は長男一人が受け継ぐ、戦前の制度です。いまの相続のように、配偶者や子どもたちで財産を分け合う仕組みではありません。戸主が亡くなったときだけでなく、隠居などでも起こりました。

Q. 「隠居」と書かれていたら、その人は亡くなっていますか。

亡くなっていません。隠居は、戸主が生きているうちに戸主をやめ、次の人に家を譲ることです。隠居のあとも、その人は家族として同じ戸籍に載り続けます。亡くなった日は、その人の欄に別に書かれます。

Q. 「入夫婚姻」と「婿養子縁組」は、何が違いますか。

入夫婚姻は、女性の戸主と結婚した夫が、妻の家に入る結婚です。婿養子縁組は、娘と結婚する男性を、同時に養子として家に迎えることです。婿養子は妻の父母の養子にもなるので、戸籍には結婚と養子縁組の両方が書かれます。家系図での書き方は、ご先祖様の養子・婿養子は珍しくない?で紹介しています。

Q. 「送付」と書かれているのは、どういう意味ですか。

本籍地とは別の役所で届けが受け付けられ、そこから本籍地の役所へ書類が送られてきた、という意味です。届けを出した場所は、ご先祖様が実際に暮らしていた場所の手がかりになります。

Q. 戸籍の一部が黒く塗りつぶされているのはなぜですか。

差別につながるおそれのある記載は、写しを出すときに見えないようにされていることがあります。家系図づくりに必要な名前・続柄・日付は、通常は読める状態で出されます。

Q. 「廿」「卅」は何と読みますか。

「廿」は20、「卅」は30を表します。「廿五日」は25日、「卅日」は30日です。古い戸籍の日付でよく使われています。

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参照資料(2026-10-16確認)

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